本庄水源地(広島県)


調査日:2001年8月9日

 読売新聞の日曜版に「近代化遺産 ろまん紀行」という連載記事が掲載されている。丁度、けらえいこの「あたしンち」と同じ面にあるので、なんとなく知っているという方も多いのではないだろうか。この連載記事ではなかなかまとまった情報としては手に入れにくい各地の近代化遺産を、毎回ひとつずつカラー写真付きで見ることができるという、他は知らんが私にとってはありがたい記事である。まあ、その割には何のためらいも無く捨てていたりするが、それは性格ということでしょうがない。さて、その中に紹介されていて印象に残っていたのが今回お送りする水道用施設の本庄堰堤である。

 広島市内を抜けて海沿いの気持ちのいい道をひた走ると、かつての軍港として有名な呉市に到着する。斜面に密集している家並みがいかにもという風景だが、所々に芸予地震の爪あとだろうビニールシートで覆われた屋根や斜面がいまだに存在しており、まだ現在進行形の出来事だということを思い知らされた。

後で出てくる公園からの景色

 さて、目的地に向かうため市街地を北上すると、急に街の賑わいは消え渓谷沿いの山道になる。やっぱりダムは山だよなと意味のわからないことを思いつつ上ると、これまた急に視界が開けて、いかにも新興住宅地といった風景が広がる。そんなありふれた景色の中にぽつんと本庄堰堤はあった。

 しまっている門 自衛隊の立て札

 早速近寄ろうと入り口らしいところに向かうと門が閉まっている。まあ、ダムが上水道の設備であるため致し方ないとは思う。しかし門の左手にある立て札を見ると、どうやら右手奥に自衛隊の施設があるようで、結果としてこの場所はコンボで立ち入りを禁止している。こんなところで平日の昼間にカメラを手にしている見かけない男性というのはかなりまずいだろう。しかられるとかそういうレベルで収まらない気がするので早々に移動。


本庄水源地の風景

 二河川落差工 本庄堰堤 木が邪魔

 車を別の場所に止め、徒歩で移動しながら撮った写真である。少々遠いが、右手に見えるのが今回の目的地本庄堰堤である。高さ25.4m・長さ97.0mの荒石コンクリート製で表面は白御影石によるものであり国指定の重要文化財に指定されている。また、左手にあるのが二河川落差工であり1.5mの段差が全部で7段ある。と、普段はあまり記述しないスペックを書いてみたがこれはすべて手元にある資料によるものである。というのも、堤体はもちろん、ダム湖に至るまでどこに行っても近づくことができないのだ。このあたりは上水道の水源というこのダムの特性によるところでいたしかたないのだろうが、にぎやかな住宅地のすぐ隣にまったく誰もいない場所が広がっているというのには、ちょっと不思議な感じを受けた。

  

 前述したとおり、水源地として厳重に管理されているこの場所だが、さすがにそれだけではすまないようで、二河川とダム湖を仕切っている土手の一部が公園として整備されていて、ここには自由に入れるようになっている。とはいえ、ここから池に下りていけるわけではなく、かといって堤体が見えるわけでもなく、整備はされているのだが、ただやたらと歩道が走っていたなという記憶しかない。

 というわけで、ちょっと物足りないレポートになってしまったが、遠くからでもその存在感が確かに感じられるダムだったと思う。最近のダムでは、景観などを考えて表面をレンガ調にあしらったりしているものもあるが、それらとは明らかに一線を画すものがあるなと思う。ただ、使っている材料が違うのだからそれを責めてもしょうがないし、もし同じものを作り出したらそれは暴走だと思う。

※参考資料……日本の近代土木遺産(土木学会 土木史研究委員会編)

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ダム名称
所在地
水系
河川名
ツーリングマップル
索引
本庄堰堤
(本庄水源地)
広島県呉市 二河川 中国・四国52B-3